娘の成長

娘が今よりまだ少し小さかった頃の話です。娘は慣れない人に声をかけられたり慣れない場所に行くと緊張して固まって動けなくなってしまい、声をかけても全く反応しなくなるような子でした。お友達を作ろうと支援センターに遊びに行っても、他の子が近づいてきただけで固まったり逃げたりで、結局家と変わらず親としか関わらない毎日でした。

娘が3歳になる少し前、私が仕事に復帰するために娘を保育園に通わせることになりました。もちろん不安はありましたが、初めは緊張して泣くこともあるかもしれないけれど、1か月もすれば慣れてきて案外楽しく通えるようになるだろう、と呑気に考えていました。しかし入園から2年が過ぎても、毎日のように保育園の玄関で母にしがみつき「行きたくない」と泣く娘を引き剥がして仕事に向かうという辛い日々が続きました。

娘はお友達から声をかけられても固まってしまいなんの反応もできず。決して無視をしているわけではないけれど、無視されたとお友達に思われないだろうかと端から見ていてヒヤヒヤしていました。周りもまだ幼いからか、幸い娘がなんの反応もしないことでお友達とトラブルになったり、お友達から声をかけてもらえなくなるということはありませんでしたが、娘は娘で頑張っている、他の子と比べてはいけないと頭ではわかっていても、なぜ他の子はお友達と楽しく遊んでいるのに娘はお友達に手を振り返すことさえできないのだろう、と毎日ヤキモキしていました。

そうした日々が続き、娘が年中の秋、保育園の先生とも相談し、病院で発達検査を受けることを決意しました。結果は様子見。また半年後に様子を見せに行くことになりました。その間に少しでも自分にできることをしようと思い、図書館で本を借りて娘の特性や声かけの仕方について勉強したり、病院の先生からの勧めで保育園とは違う少人数の環境でコミュニケーションをとる練習として習い事をさせてみたりと奮闘しました。

そうして保育園に通うようになってから約2年半が経った頃、娘の頑張りが実り、保育園でも固まらずにお友達とお話をしたり遊んだりしている姿が徐々に見られるようになっていきました。毎朝のお別れも泣くことがほとんどなくなり、あんなに悩んでいたのはなんだったんだろうと思えるくらい娘は急激に成長しました。二度目に行った病院でも、緊張しながらもしっかりとした受け答えをし「前回と同じ子とは思えない」と先生をも驚かせました。

そしてついに迎えた卒園式の日。娘が通っていた保育園では、卒園児たちが一人ずつ壇上に上がり、保護者に向けて感謝の言葉を伝える場面があります。大勢の人の前でも堂々と壇上に立ち、大きな声でハキハキと話す娘の姿に毎朝保育園の玄関で泣いていた娘の姿を重ね、その成長に胸が熱くなりました。

そんな娘も今年から小学生。まだまだ不安なことはあるけれど、毎日元気に小学校に通っています。これからも幾度となく困難に直面し親子で悩むこともあるでしょう。それでも娘ならきっと大丈夫。子どもは時に大人が驚くほどの成長を見せてくれます。娘を信じてその成長を見守っていこうと心に決めています。

3児の母

 

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